ミラクルマン劇場

私、薩摩二郎の自作小説を、ブログ形式で、きままに紹介していきます。
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おしらせ

まことに、勝手ながら・・・

「私本 西遊記」を、このブログから、独立させることにいたしました。

現在、順次、新しいブログに、エピソードを移行しております。

作業が完了しだい、こちらのブログから、「私本 西遊記」のエピソードは、削除させていただきます。

申し訳ございません。

尚、新ブログ(薩摩二郎の小説 私本 西遊記)のURLは、

http://takakurumiya.jugem.jp/  と、なっております。

携帯からのアクセスも、同じURLです。

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私本 西遊記 第37回

「おい、順風耳じゅんぷうじ梅山ばいざん六兄弟まで、かりだされたというのか?」
二郎真君じろうしんくんは、天帝の警護を務める、自分の腹心の部下たちまでが、悟空ごくう逮捕に出動したという事実を順風耳に確認しました。

「それでも、あのエテ公(悟空)を捕まえられんというのか?」
憮然とした表情になった二郎真君に、順風耳は、あくまでも淡々とした表情で、返答しました。
「ですから、それがしが、御前に参っておるのです。」

西王母せいおうぼの大切な桃(蟠桃はんとう)を食べつくしたのみならず、パーティ会場に運び込まれていた仙酒と不老長寿の金丹まで、飲み食いしてしまった悟空は、リベンジを期して逮捕に向かったナタ太子と、援軍として駆けつけた梅山六兄弟が迫ってくるのに気づくと、いちはやく雲を呼び、南大門(天上界と地球を結ぶ関所)へと飛び去りました。

「大聖!お通しすることは罷りなりませぬ!」
天帝から、非常事態宣言が発令され、南大門は封鎖されています。
ましてや、悟空は、その非常事態宣言の原因をまきおこした張本人ですから、門番も、問答無用で悟空に打ってかかります。
しかし・・・
天上界最強の戦士ナタ太子をやっつけた悟空に、なんで、南大門の門番ごときが、かなうはずがありましょうか。
悟空が、金箍棒きんこぼうを振りかざすや、門番たちは、無残な屍をさらす羽目になってしまいました。

大急ぎで、故郷の花果山かかざん水簾洞すいれんどうに戻った悟空は、帰還を喜ぶサルたちを制すると、子分になった妖怪たちに非常召集をかけました。
同時に、遣いをやって、牛魔王ぎゅうまおうたち”義兄弟”にも、応援を依頼しました。

悟空にまかれた格好になってしまったナタ太子と梅山六兄弟が、急ぎ南大門に駆けつけたときには、すでに、悟空は仲間を集め(天上界よりも地球のほうが、時間が早くすすむので、悟空は早々に陣容を整えることがてきたのです)、逆に、天上界に向かって進軍していました。

ほんの出来心(悟空にしてみれば、そんな思いでしょう)が、思わぬ大戦争に発展してしまいました。
ただでさえ、無敵に近い力を誇る悟空が、西王母の桃と、太上老君だいじょうろうくんの金丹を、たらふく食べているのですから、手のつけようがありません。
しかも、牛魔王をはじめ、地球上の名だたる妖怪や魔物を味方につけているのですから、天上界の精鋭たちも、劣勢はいなめません。
ナタ太子は返り討ちにあい、天帝期待の梅山六兄弟も、あえなく敗走を余儀なくされてしまいました。

「なんとかできんのか!」
天帝は、自らの御所である金闕雲宮きんけつうんきゅうに迫ってくる妖怪軍団を見て、いらだち始めました。
「あのお方を及びになってはいかがですか?陛下。」
その声に、天帝が振り返ると、男性とも女性ともつかぬ中世的な仏神が、供の行者を連れて立っていました。

「観世音どの。それに、木叉もくさ・・・いや、恵岸えがん。」
仏神は、西方極楽浄土のナンバーツーである、観世音菩薩(観音様)でした。
そして、供の行者は、かつて天上界の武神であった恵岸行者です。
天帝が、木叉と呼んだのは、仏の道に帰依する前の、名前であります。

観世音菩薩は、うやうやしく、天帝に一礼しました。
恵岸行者は、天上界にいたころのように、方膝をつき、天帝に最敬礼をしました。

「観世音どの。ナタや梅山六兄弟が、苦戦しておるような、この状況を収めることができる者が、いったいどこにおると言われるのだ。」
天帝は、観世音菩薩に、疑問を投げかけます。
「陛下のもっともお近くに・・・とはいえ、今は、下界(地球)に降っていらっしゃいますが・・・。」
観世音菩薩に、みなまで言わせず、天帝は、側に控えていた順風耳に命じました。
「二郎を召還せよ!」

「それで、おぬしが、ここにおるというわけじゃな。」
二郎真君は、ややあきれた表情で、事態を報告していた順風耳に言いました。
「いやだと言ったら・・・。」
いたずらな、目つきで、二郎真君は、順風耳を見つめます。
「それは、ありえないことでございましょう。」
順風耳は、自信たっぷりに答えました。
「現在、斉天大聖せいてんたいせいと干戈を交えていらっしゃるのが、恵岸さまですから。」

その言葉に、二郎真君は、とても厳しい表情になりました。
恵岸行者と二郎神君は、無二の親友だったからです。
鐘馗しょうき!刀を持て!」
鐘馗さまに武器の用意を命じた二郎真君は、打倒、孫悟空に向けて、立ち上がりました。
全知全能の天帝の血を引く、天上界きってのサラブレッドがの出陣です。

さてさて、どのような戦いがくりひろげられますやら・・・それは、次回のお楽しみにて。





長安異神伝


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私本 西遊記 第36回

「では・・・今年は、蟠桃会はんとうえは、中止ということかな。」
二郎真君じろうしんくんは、順風耳じゅんぷうじの話を聞き、念を押しました。
蟠桃会とは、孫悟空、そんごくうが食い荒らしてしまった、西王母せいおうぼの桃の実りを祝って行われる、天上界で最大規模のパーティのことです。

二郎真君は、天帝の甥にあたりますので、もちろん、毎年、西王母から直々に正体を受けているのです。
天下御免の扱いを受けて、地上界で暮らしている二郎真君がもっとも苦手としているのが、天上界での堅苦しいしきたりや礼儀作法です。
西王母の蟠桃会といえば、天上界のみならず、西方極楽浄土からもお歴々が招待されていますので、いやがうえにも、しきたりや作法が重んじられます。

もしかすると、二郎神君は、悟空のいたずらに、心の中で下を出していたのかも知れません。

「続けろ・・・。」
あまり、感情が出てしまうと、天帝直属の諜報部員である順風耳にさとられてしまうので、二郎神君は、確認だけすると、すぐに、報告を続けさせました。

「桃を食べつくした悟空めは・・・」
順風耳は、再び、天上界でのいきさつを、話し始めました。

西王母の桃を食べつくしてしまった悟空は、それでも、パーティに自分が招待されていないことへの怒りがおさまらず、西王母にクレームをつけようと、雲に乗り、搖池ようち(西王母がお住まいになっているところ)へと、飛んで行きました。

西王母の宮殿では、パーティの準備に大忙しです。
ちょうど、悟空が、搖池に到着した時は、兜率天宮とそつてんきゅうの、太上老君だいじょうろうくん(老子)から贈られた、パーティでふるまわれる仙酒の甕と、不老不死の金丹(妙薬)の重箱が、次々と運び込まれているところでした。

しっかりと栓をしてあっても、天上界で最高級の仙酒の芳しい香りは、ほのかに、あたりに漂っています。
特に、悟空は、お酒には目がありませんから、その香りをかぎ当てると、無性にのどの渇きを覚えたのでした。
「あの甘ったるい桃をたらふく食って、まだのどを潤していなかったな。ん〜いい香りだ。きっと、極上の旨い酒に違いない。ひと甕いただくとするか。」

雲から飛び降りると、悟空は、酒甕の搬入の差配をしている執事を金縛りにかけ、自分は変身の術を使って、執事と入れ替わってしまいました。
「あ〜、皆のもの。酒はここに置いて行くがよい。」
酒を運んでいた人足(天上界だから仙足でしょうか)たちは、一瞬、驚きを隠せませんでした。
「えへん。いつもなら、中へ運び込んでもらうのだが・・・今回は、ちと、中の準備が滞っておるのでな・・・。中の用意ができたところで、こちらのもの達が、運び込みをする段取りにしておる。かまわん、ご苦労であった。」

神様の世界にも上下の格差はございます。
人足たちは、安い駄賃で、重い荷物を運ばされていましたので、コレ幸いと、悟空の口車に乗せられて、帰って行ってしまいました。

「ひぃふうみぃ・・・」
悟空は、酒甕の数を数えました。
「百と八つか・・・これだけあれば、ひと甕やふた甕くらいちょろまかしても、問題なかろう。」
悟空は、人気がなくなったのを確かめると、いちばん手元にあった甕の栓を抜き、酒をのどに流し込みました。

「ぷはぁ〜、これはこれは、なんと旨い酒だ・・・。」
極上の酒の味に、悟空の、わずかばかり残っていた”良心”は、吹っ飛んでしまいました。
みるみるうちに、百と八つあった酒甕の中身は、悟空のおなかの中に消えていきました。
もちろん、酒には肴が必要ですので、一緒に運ばれてきた金丹も、おなじく、悟空のおなかの中へ消えています。
いったい、どんな食欲なのでしょう。

しかし・・・
極上の酒は、極上の眠りも誘います。
さすがの、悟空も、酔いがまわって、そのままヘタヘタと、眠り込んでしまいました。

その間に、なんとか金縛りを解いた執事が、主人である西王母のところへ、事態を報告に走ったことは、言うまでもないでしょう。

西王母の訴えを聞いて、天帝は、悟空逮捕の勅命を下します。
先ごろの戦いで、悟空に一敗地にまみえたナタ太子が、リベンジを誓って、機動部隊の先鋒を買って出ました。
ともに派遣されたのは、二郎神君の部下であり、天帝の警護を勤める精鋭部隊でもある、梅山ばいざん六兄弟です。
さてさて、どのような逮捕劇にはってんするのやら・・・・それは、次回のお楽しみにて。





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私本 西遊記 第35回

孫悟空そんごくうが暮らしている斉天大聖府せいてんたいせいふの真裏には、大きな桃畑がありました。
ここは、天上界の仙女たちの母と呼ばれる西王母せいおうぼが、大切に育てている”不老不死”の果実で、蟠桃はんとうという桃を育てている果樹園です。

ある日、その蟠桃園から、楽しそうな仙女たちの話し声や歌声が、斉天大聖府に聞こえてきました。
退屈な毎日を、悶々と過ごしていた悟空は、庁舎(いちおう悟空もお役人ですから)を飛び出すと、蟠桃園に飛び込みました。

「大聖さま、ここにお入りになるには、王母娘々にゃんにゃんの、お許しがないと・・・」
蟠桃園の管理人が、悟空を止めようとしましたが・・・。
どうなってしまったかは、懸命な読者の皆様には、お分かりいただけるでしょう。

「よう、姉ちゃんたち、楽しそうだな。」
悟空は、西王母の言いつけで、桃を採りに来ていた仙女たちに声をかけました。
「あら、大聖さま?」
仙女たちは、突然の闖入者に驚きました。
管理人が、悟空を止めようとしたように、ここには、西王母の許可がなければ、たとえ、全知全能の玉皇上帝でさえ、入ることはできないのです。

”悪名高き”孫悟空のおでましに、仙女たちは、戸惑いましたが、下手に悟空を怒らせて、暴れさせてはいけないと判断したのでしょう。
リーダー格と思しき、ひときわ美しい仙女が、ご機嫌をうかがいます。
「これはこれは、大聖さま。ようこそ、王母娘々の蟠桃園に、おでまし下さりました。」
悟空は、彼女に一目惚れしてしまいました。
「た・・・楽しそうな声がしたもので・・・つい・・・。」
相手が妖怪や武神なら、めっぽう強い悟空も、美女には弱いようで、受け答えが、急にしどろもどろになりました。

「私たちは、王母娘々の言いつけで、桃を採りにまいりました。お気にさわったのでしたら、静かに用を済ませます。」
彼女は、にっこりと悟空に微笑みかけた。
「あ・・・いや・・・続けてくれ。」
悟空は、仙女たちに桃狩りを続けるように言いました。
「はい、では・・・。」
仙女たちは、悟空にお辞儀をすると、桃狩りを続け始めました。

でも、今度は、歌も話し声も聞こえてきません。
しばらくすると、さすがの悟空も、悪いことをしたと思ったのでしょうか・・・こっそりと、大聖府にもどろうとしました。

が・・・このとき、風に吹かれて、蟠桃のすごく甘いいい香りが、悟空の鼻をくすぐりました。
果物には目がない悟空は、蟠桃が欲しくてたまらなくなってきました。

「よう、姉ちゃん。」
悟空は、すぐそばで、桃を集めていた下っ端の仙女に声をかけました。
「はい?」
「その桃を、ひとつ分けてくれんかのう。」
悟空の申し出に、仙女は頭を横に振りました。
「な・・・なりませぬ。これは、王母娘々が開かれるパーティでお出しする大切な桃です。たとえ、大聖さまであっても、お分けすることはできません。」

悟空が声をかけた仙女は、特別、生真面目で責任感の強い人でした。
どんなに悟空がおねだりしても、ひと口たちとも、桃をわたそうとはしませんでした。

「では、そのパーティとやらは、いつ開かれるんだい?」
食べ物のことになると、やたら知恵がまわるもので、悟空は、話をパーティのことに切り替えました。
「明日です。」
ほっとしたのか、生真面目な仙女も、つい、悟空に期を許してしまったようです。
「ほう、そのパーティには、どんな神様たちがくるんだね。」
一日辛抱すれば、桃が口に入るとわかった悟空は、少しうれしくなりました。
そして、生真面目な仙女に、パーティについてたずねました。
「はい、玉帝陛下と大上老師(老子)さまをはじめ、天上界のお歴々、そして、西方極楽浄土から、お釈迦様と観音様をお招きしております。」
生真面目な仙女は、招待客の名を、いちいち、悟空に照会しました。
「もちろん、俺様も、御呼ばれしているのだな。」
悟空は、自分が招待客であるかどうかを、生真面目な仙女に確かめました。

しかし・・・
生真面目な仙女は、ごまかすことができず、つい、本当のことを言ってしまいました。
「いいえ。大聖さまは、今回のパーティには、ご招待されておりません。」

大好物を目の前にして、辛抱をしていた悟空の、心の箍が外れてしまったのは、いうまでもありません。
悟空は、怒りにまかせて、暴れだすと、仙女たちが止めるのも聞かずに、桃を手当たりしだい、口の中に放り込みはじめました。
「これは旨い!」
天上界で最高といわれる果実の味を覚えた悟空の食欲は、もう、誰にも止められませんでした。


あっという間に、蟠桃園の桃が食い尽くされたのは、言うまでもありません。
そして、悟空が、食べることに夢中になっている間に、仙女たちが、西王母に、事のすべてを知らせに行ったことも、お察しがつくでしょう。
さてさて、このあと、悟空の狼藉をめぐって、天上界がひっくりかえるような大騒動が巻き起こるのですが、それは次回のお話にて・・・。




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私本 西遊記 第34回

天上界の西の端に新しい宮殿ができあがりました。
宮殿の門には、『斉天大聖せいてんたいせい府』という幟が、高々と掲げられてあります。
そこのあるじは、なんと、つい先頃、天上界が送り込んだ戦闘用サイボーグナタ太子を打ち破った孫悟空そんごくうです。

天上界は、悟空征伐を一旦あきらめ、太白たいはく金星を仲介として、悟空と停戦調停を結びました。
その見返りが、この宮殿なのです。
宮殿が出来上がるまでの間、孫悟空のもとには、天上界から見放された”負け組み”仙人や、妖怪たちが、こぞって貢物を届けにきて、悟空の臣下となったり、力のあるものは悟空と義兄弟の契りをかわしました。
その中には、後日、悟空の”最大最強のライバル”となる牛魔王ぎゅうまおうもいました。

玉皇上帝をはじめとする、天上界首脳陣は、そんな悟空をこれ以上地球でのさばらせておいては危険であると判断し、再び、天上界に住まわせることにしたのです。
今度は、弼馬温ひっぱおんなどという木っ端役人としてではなく、新たに”斉天大聖”(天にもひとしい大いなる聖人)・・・つまり、天上界の最高司令官である天帝と同等の立場であるといった階級をつくって、天上界に”お迎え”するというカタチをとったのでした。

とはいえ、悟空に与えられた斉天大聖なる位は、もともと存在しなかったものですので、名前だけの、いわゆる名誉職のようなものであります。
日々、何もすることもなく、また、地球上にいるサル族や、義兄弟の契りを交わした魔王たちと戯れることもできずに、ただ時間だけが過ぎてゆくのです。

そんな退屈な日々に、どうして、孫悟空ともあろう者が、我慢することができましょうか・・・。
またまた、孫悟空は、天上界と地球をまたにかけた大暴れをやってしまうのですが、それは、次回のお楽しみにて。




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